20121213銀座農業政策塾「TPPをいかに考えるか?」議事録


TPP勉強会の議事録です。

総選挙の判断の一つのご参考になればと。

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20121213銀座農業政策塾/特別勉強会議事録

テーマ 「緊急企画! TPPをいかに考えるか? 
    ~国家ビジョンなき無責任な改革論を排す~」

発表者 蔦谷栄一氏(農林中金総合研究所 特別理事)


サマリー
「資本主義、新自由主義が行き詰っている世界的な状況にて
TPPを推進すべきではない。
日本は中長期的に地域循環ができる社会、定常型社会を目指し、
また、産業的な合理性だけでなく、不合理も包含する社会、
生命原理に立った農的社会を目指すべきである」


1.日本は転換点にあるのではないか?
・資本主義のあり方そのものが問われているという意味で
 歴史的転換点にある
・原発に象徴される近代化が問われている
・食料はひっ迫基調になったのではないか
 (生産能力を上回る需要の増大)
 ただし、日本国内を見ると食料需要が低下。
 今後、人口減少等により低下が加速

 このような大転換期にTPPをいかに位置づけるか?
 
2.TPPの概要
・アジアの成長を取り込むのが眼目であるが、当面、日本の市場に
 大きな期待
・アメリカは日本にぜひ入って欲しい

3.TPPの沿革
・WTOは一括合意・無差別性の原則となっている。
 ドーハ・ラウンドは10年間続いているが合意の目途は
 立っていない (新興国の発言権拡大)
・このため、例外措置を認め合うのが一般的であるFTAの締結が
 増加している
・TPPはFTAの拡大版。ただし、例外規定は原則として認めない

4.TPPの動き
・アメリカ(自動車の扱い)、オーストラリア、ニュージーランド
 (両国とは農産物の関税の扱い)と事前協議中
・政府は年内の交渉参加表明を探っているとの情報もある
 (日経新聞の記事より)。
 しかし、総選挙の民主党劣勢を見ると難しくなったのではないか
・2013年中にはTPPの合意をしたいという記事が掲載された。
何が議論されているか記事にされているものが少ない
・アメリカとオーストラリア、ニュージーランドとで交渉が続いて
 いる。アメリカは砂糖、乳製品の関税撤廃に難色を示しては
 いるが、かなり押し込まれているもよう
 (日本農業新聞の記事より)。
 TPP推進論者が例外規定は可能としている根拠は砂糖、乳製品
 についての例外規定の存在であるが、
 これが揺らぎつつあるように見える

5.TPP加入の影響
・政府試算と農林水産省試算。2012年8月の農林水産省再試算
 によると農業生産3.4兆円減
・農林水産省試算によるとコメは生産量減少率90%

6.TPP以外の自由貿易交渉
・TPPとRCEPの両協議に整合性がないのではないか
・また、EUとのFTA交渉も近々開始の見込み

7.TPPの受け止め方
・経済的には「アジアの成長力を取り込む」、「空洞化阻止・
 雇用確保」、また、政治・外交的には「普天間基地問題」、
 「中国包囲網形成」という受け止め方がある
・新自由主義的な経済かそれともバランスのとれた経済か。
 価値観がかかわる
・ここに日米の歴史的な関係の影響がある。米国の本音は
 「日本に泣いてもらいたい」

8.TPPの主な論点
・日本の公的医療制度が米国的な制度に改変させられるのでは
 ないか
・輸入食品の安全基準が緩和されるのではないか
 (たとえば、遺伝子組み換えの表示など)
・政府調達。海外からの入札が増えるのではないか

 TPPを受け入れた後にルールを変えさせていくのは難しい
 のではないか。楽観視はできないのではないか

9.韓国に見る貿易自由化の実情
・韓国の電機業界の発展により日本の電機業界は落ち目となって
 いる
・しかし、韓国の労働分配率は低下している。このため格差が
 拡大している
・ISD条項の問題。一種の不平等条約
・韓国の農業。二極化。韓国の農地はどんどん売られている。
 専業率は高いとされているがむしろ兼業ができない環境が影響。
 若者は農村から都市に出て行ってしまう。
 一方で、政府支援を受けて園芸・畜産等で施設型・輸出型の農業
 を推進してきたが、期待に反して、債務問題が深刻である
・韓国の大手銀行、大手企業には外資がたくさん入っている。
 この株主への利益が優先されている
・韓国の輸出拡大はFTAによるものよりウォン安によるものが
 大きい。ここにきてウォン安のゆり戻しが起こり始めている

10.どのような国家ビジョンを目指すのか(どういう国、
社会にするか)
・目指すべきは「定常型社会」(中長期的に地域循環ができる社会)
 定常型社会のために以下3点を示す
・一つ目、金融資本主義とは違う方向付けが必要
 輸出主導型ではなく内需主導型へ
 現在の問題は過剰設備、過剰生産。現在は過剰分を輸出に回して
 いたがこれからは内需を創造していくことが必要
・二つ目、いかにCSR(企業の社会的責任)を実体化させるか
・三つ目、協同組合、NPOといった非営利のセクターを増やして
 いく。資本の暴走を許さない対抗経済を作っていく

・取組レベルで言えば「農的社会」を目指すということになる
 工業の論理だけではない、命の関係性を大事にする社会。
 不合理も包含する社会
・経済的な合理性だけではない、持続できる農業を目指す
・具体的には「高度技術集約型農業」と「土地利用型農業」
 (たとえば、粗放型の酪農)へ。そして少数のプロ農家と
 たくさんの自給的農家・市民が担い手になる
・これを地域の中で組み合わせて循環可能な農業がベースになる。
 大規模化した農業ではなく、生産者と消費者が一緒に作っていく
 コミュニティ農業が求められている


まとめの言葉として、アルビン=トフラーの「生産消費者」という
概念を紹介。
トフラーは『第三の波』で情報革命を予言したが現実のものと
なっている。あわせて予言したのが「『生産消費者』の時代」
であり、「『生産消費者』の時代」が到来するべく取り組んでいく
ことが必要であり、そうした流れが欧米でも広まりつつある。

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